「夕暮れ時はさびしそう」 NSP(1974年)

天野滋氏が亡くなっただなんて……! 全身の力がよろよろと抜けてしまってどうしようもありません。
何て言うかとても言葉に出来ないぐらい特別な人だったんだよー。「女々しいことはなんて女々しくないんだろう、むしろ真の漢なんだろう」ということを、子供だった私に身を持って見せてくれていたのが天野さんでした。時が経つごとにその印象は確信とともに深まり、震えるようなかぼそい歌声を折に触れて思い出すたび、他の誰とも比べられない彼の独自の有り様に改めてうたれるのでした。
どうしよう、生きている限り夕暮れ時から逃れることは出来ません。そしてそんな時私はいつだってひとりなのです。そのたびにあなたが「ごめん、ごめん」と歌う、あの声が黄昏の気配とともに忍び寄ってくるのですからたまりません。享年52歳だなんて若過ぎます。御冥福をお祈りします。