「ささやかなこの人生」風(1976)

伊勢正三さんの話をすると力が入ってしまいそうだ。好きすぎて。
桜散るこの時期になるときまってこの歌を思い出すのは、おそらく私だけではないだろう。「咲き誇る桜の花」そのものを安易に歌にする輩は後を絶たないが、「散った後の桜」をさらりと歌にしてみせた人は私の知る限り伊勢正三さんだけだ。
それも凡百のソングライターと違い「ちょっと人とは目の付け所が違うでショ、ボク」というケチな虚栄心とはまるで無縁。とにかく、「彼の仕事にハズレなし」と、子供心に全幅の信頼をおいていたものだった。
生意気なガキだと我ながら。でもかぐや姫時代からソロに至るまでの、彼の名曲の数々を脳内でフラッシュバックしてみるにつけ、あー、オマエは正しい!と子供の自分を褒めてやりたい気分になる。
この「ささやかなこの人生」もいいですが私はとりわけ「ほおづえをつく女」が大、大好きでした。やっぱりませたガキです。