「雨のウェンズデイ」大瀧詠一(1981)

→ 「壊れかけたワーゲンのボンネットに腰掛け、
雨に降られて海を見ている」男女て。なんだかとてもイヤです。
しかも水曜日と言えば平日じゃありませんか。そんなところで一体何をしているんでしょう。
このように、田舎の、しかも貧乏人のつっこみ心を激しく刺激する松本隆の世界ではありますが、大瀧詠一の音と歌声が加わることによって、平素のそうした「中流」臭が一気にハリウッド的スペクタクルにまで昇華した一枚、それが「A LONG VACATION」なのでした。
とりわけこの曲は。極彩色のコレクションの中に、一枚だけはさみこまれたモノクロ写真といった味わい。歌の中でふたりは永遠に、海を見る振りをしながら互いの読めない心をはかっているのです。